北欧スウェーデンの新型コロナ対策はユニークである。外出や経済活動を規制せずマスクも推奨していない。小中学生は学校を閉鎖すると共稼ぎの親が困ると登校させ、高校大学は休校にした。かくて20年6月で死者4600人と日本の50倍、抗体保有率10%以下で集団免疫も期待はずれであった。
制限を強化しておけば守れた命もあった筈、これでよかったのかと批判の声もある。だがコロナ対策は短距離走ではなくマラソン、国民が疲れて守れなくなるような規則はダメと放任策を指揮してきた疫学者テグネル氏を国民の6割以上が「コロナはモンスター。どんな対策がいいのか誰も分からない」と支持してきた。累積感染者は10月下旬で10万人、死者6千人。あの手この手で苦悩する英仏スペインの何故か感染率1/5であった。確かにコロナは化け物である。
そんなスウェーデンが中国共産党に怒った。香港で独裁政権批判の書籍を扱う銅鑼湾書店の株主、スウェーデン国籍の桂民海氏を中国はこの2月に逮捕し懲役10年の刑とした。これに対しスウェーデンペンクラブは、公権力から迫害されている作家が対象のトゥホルスキー賞を同氏に授与。中国政府は「ヘビー級選手にフライ級が挑む気か」と貿易制限など恫喝。スウェーデン国民は習近平を揶揄するイラストを街々に貼り、ペンクラブも「権威主義には人権保護で応じる」と息巻く。1950年に西側として初めて中国と国交樹立した同国では今、国民嫌中率85%で70周年祝賀どころではない。
京都大学教授カール・ベッカー氏は、「今の日本人は在宅看取りの減少で老病死を学ぶ機会が減り、死の限界が分からなくなった。食えないと点滴で迎える人生の終末ではなく、あるがまま受け入れ、潔い往生が昔の日本にはあった」と語るが、逆にスウェーデンは食えなくなると「人生、そこまで」と国民が納得するお国柄である。「なるようにしかならない」といったコロナ対応と同根であろう。
2018年は日本・スウェーデン外交関係樹立150周年だった。駐日大使は某誌で、民主的で人権的で安定している国との友好関係が大切、わが国はライフワークバランスを重んじ、親が子と過ごす時間が多く出生率も高い、国民が政府と社会システムを信頼し高い税率にも甘んじていると述べている。お陰で私は学生時代、イエーテボリの病院に一泊タダでお世話になった。
命を危険にさらしてでも自由を尊重しそこに幸福を見出す国。人口14億と3千年の歴史を誇りながら香港国安法等で自由を制限する独裁の国。米のポチ、中の寄生虫でなければやっていけない国。わが秋田の菅首相も舵取り、誠にご苦労様である。と思っていたらコロナ第3波襲来。スウェーデンも緩やかながら種々規制に乗り出した。やっぱりコロナは化け物である。
20-11-19 レター54
平田篤胤と佐藤信淵を祀る弥高神社のイチョウ(秋田市千秋公園)
森吉山(1454M)冬のスキー場客より紅葉鑑賞客の方が圧倒的に多くなり、山頂へのゴンドラは連日満員御礼。(北秋田市)
根城(ねじょう)の初代南部実長は熱心な日蓮宗門徒でこの巨大イチョウの右隣に日蓮上人を讃える石碑がある(青森県八戸市)